喜作

茨城県土浦市郊外の和食店。春夏はふぐ、秋冬はあんこう料理が名物の地元では評判の店である。空間の中央には二層吹抜けの大きな客室があり、それを取り囲むように大小10の個室が立体的に配置されている。10部屋はそれぞれ異なった異なった様相のインテリアと、小さな箱庭を持っている。

壁紙には和紙を用い、表情豊かなテクスチャー(質感)が間接光によって浮かび上がっている。18m×18m×6mのボリュームをくり抜かれるようにヴォイドが貫入し、そこが箱庭になり、すべての個室に空や緑が持ち込まれている。吹抜けの中央に立つと、複数の方向に空が切り取られている。空間のどこにいても屋外が感じられるのが、この建築の特徴である。地元企業の接待にも使われるために、各部屋のプライバシーは保たれる工夫がなされている。何度来ても、いつも違った雰囲気の部屋に通されることが、お客さんを飽きさせず、評判がいいらしい。

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